
東京都美術館で4/12(日)まで開催されている「スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき」へ足を運んだ。この展示の目玉は、展示作品80点すべてがスウェーデン絵画で構成されている点にある。
19世紀後半にフランスで学んだ画家たちの作品が中心となっており、印象派の影響を受けつつも、「スウェーデンらしさ」を模索した軌跡が辿れる。その「らしさ」とは、すなわち「広大で厳しい自然の中に宿る、あたたかな生活の灯火」のこと。今回の作品群からは、メランコリックながらも、そんな閉鎖された環境の中で生まれた祝祭的な毎日を感じるような特有の空気感が溢れ出していた。(映画好きに一言で伝わる表現をするなら『ミッドサマー』的な雰囲気)
印象派を好む人ならきっと気に入る作風が多いが、印象派と異なるのは線の精密さと言えるだろうか。光の演出は印象派的でありながら、描写そのものはより精密で、どこか背筋が伸びるような静けさがある。 メインビジュアルにもなっているニルス・ブロメールの『草原の妖精たち』は、一見セザンヌやルノワールを彷彿とさせるが、全体を俯瞰するとその描写の細かさや、宗教画のような厳かな趣に圧倒されるといった具合に。

今回の展示で、特に心惹かれた作品が2つある。一つはアーンシュト・ヨーセフソンの『村人たちの噂話』。道端で3人の老女が噂話をしている最中に若い女性が鉢合わせ、気まずそうに顔をしかめる場面を描いた一枚だ。会社で似たようなシチュエーションに出くわすことが多い身としては、この居心地の悪さのリアルな描写に強く惹かれてしまった。

もう一つも同じくヨーセフソンの『恍惚とした人々』だが、こちらはタッチが全く異なる。彼はメンタルヘルスを患い、その治療の一環として医者に勧められる形で筆を執っていたという。本作は『村人たちの噂話』のような写実的な日常ではなく、妄想の世界に取り憑かれた人々が描かれている。レアリスムの作品が多かった今回の作品群とは一線を画す象徴主義的アプローチだが、自らの内面を救うために描かれたかのような切実な佇まいに、思わず釘付けになった。
ミュージアムショップでは『草原の妖精たち』のポストカードと、エレン・ケイの著書『美しさをすべての人に』を購入。スウェーデンの思想家・フェミニストである彼女が綴ったデザイン論についての本で、読了後に改めて詳しく書くつもりだ。
また、美術館内の常設ショップではリサ・ラーソンのポストカードと、マリアンヌ・ハルバーグのポーチを手に入れた。ポーチに記された「I’m the Queen of Nothing(私は「無」の女王)」という言葉を見た瞬間、「これは自分のことだ!!」と直感し、手に取らずにはいられなかった!

それにしても、ミュージアムショップは楽しすぎる。今回も1時間近く滞在してしまった。私の散骨はぜひミュージアムショップにお願いしたいものだ。
