磯部の洗礼と、愛しのおちゅん。

4/5(日)から4/6(月)にかけて、群馬県の磯部・富岡エリアへ旅行へ行った。当初は富岡製糸場を目当てに日帰りの予定だったが、母が宿泊を提案してくれ、旅館も探してくれたので1泊2日の旅となった。

磯部温泉はそれまで聞いたこともなかったのだが、実は温泉マーク(♨)発祥の地だそうだ。小ぶりながらも歴史の長さを感じる場所だ。しかし何より驚いたことと言えば、日曜の昼に着いたにもかかわらず、とにかく人が見当たらないこと。観光客どころか現地人すら見当たらない。リアル「ダーツの旅」を体験しているような感覚で、一応観光地のはずなのに、人生で一番人の居ない場所だった。母にそのことを告げると「0の下は無いから」と言われ、思わず吹き出してしまった。

ランチには、事前に調べておいた「ニューアルプス」という昭和レトロな雰囲気のレストランへ向かった。磯部駅から25分ほど歩いた国道18号線沿いにある。店の門戸を叩くと、そこはこれまでの静けさとは打って変わって混雑していた。どうやら人気店らしい。店主のおばあさんに席を案内され、ポークソテーとポークカツの定食を注文した。

口コミによると結構待つらしいので、持参したKindle Oasisで本を読みながら待機すること、なんと1時間。料理の遅さに小言(と言っても不快なものではなく、アメリカンジョークのような軽妙なもの)を言っていた隣の席に、先に料理が運ばれた。彼らの方が私たちより15分ほど後に来たにもかかわらず!私は読書に集中していたので「次こそ来るだろう」と待つ姿勢だったが、母が「これは注文が通っていないと思うから確認する」と席を立った。そんなに広くない店内で、店主の「次の次です」という声が響く。これではさらに30分は待つことになる……とたまらなくなった私たちは、店を後にした。その時感じたのは、苛立ちよりも「磯部の洗礼」を受けたというカルチャーショックに近かった。そもそも注文した際に1時間も待つ可能性があることは一切知らされていなかった。このショックは海外旅行で感じるあの感覚に近い。磯部、恐るべし。

もう二度と行くこともないのだろうな…切ない

1時間ポークソテーの匂いに包まれながら耐えていた私たちはとにかくお腹が空いていたので、通りがかった「山形屋」という蕎麦屋に迷わず入った。葉わさびそばを注文すると15分ほどで提供され、なんと早く感じ、出てきただけで感動したことか。旅行中に食べるにはちょうど良い、手打ちの美味しいお蕎麦だった。

その後、ふと立ち寄った「菓舗たむら」でどら焼きや冷やしクリームパイなどを購入したところ、なんと割れせんべいを20枚近くサービスしてもらった。驚きながら店を出ようとすると、店内の社訓に「私たちはできる限り試食を提供します」と書かれているのが目に留まった。その「できる限り」は as possibleではなく、as many asという意味だったようだ。割れせんと言いつつ、どこが割れているのか分からないほど綺麗な出来で、味も大変良かった。

再び磯部駅の近くに戻り、リサーチしていた「CREPE SALT」を訪れた。簡素ながらもモダンで新しい雰囲気のクレープ屋だ。レアチーズのメープルシロップ掛けを注文すると、10分ほどで提供された。クリームチーズの塩気とさっぱりした風味に、トッピングのクッキーとメープルが合わさって絶妙な甘じょっぱさ。生地ももちもちで、人生で2番目に美味しいクレープだった!ちなみに生地には群馬県産の小麦粉を使っているらしい。

そうこうしているうちにチェックインの時間になり、本日の宿に向かう。宿泊先は「雀のお宿 磯部館」。ひときわ目立つ「磯部ガーデン」の向かいにある別館だ。1泊2食付きで1万8000円ほどだったが、部屋が広いうえに和室ながらベッドも備わっていて嬉しかった。 そして、この旅館が✨extraordinary✨な点は、オリジナルゆるキャラの「おちゅん」が居ることである!しかも着ぐるみで出迎えてくれる。可愛い。

おちゅん大好き

名前からも分かる通り、この旅館は昔話「舌切り雀」の舞台になった場所らしく、それにちなんだ雀のキャラクターなのだという。グッズ展開も豊富で、キャラもの好きとしてはいろいろ悩んだが、ノートとマグネットを購入した。

チェックイン後は、特典でもらった「hitoritoiro.cafe」のドリンクチケットを片手に、徒歩4分のカフェへ。真っ白なコンテナハウスの内装は、実に都会的で、自分の家にも似ており居心地が良かった。

スパイシーなジンジャエールをいただいた後は、お隣の「Tartans」で夕食後のデザート用にケーキを購入した。季節限定の「桜のモンブラン」は660円とお手頃ながら、桜あんと抹茶のハーモニーが絶品!青山なら1500円はしそうなほど凝った作りだった。

その後は地域猫と戯れたり、名産の「磯部せんべい」を数店舗で購入したり、貸切風呂に入ったりして夕食を待った。

向こうから話しかけてくれたかわいい猫ちゃん

夕食は個室での懐石料理。肉や魚がメインというわけではないが、地元の食材をしっかり堪能できる品数の多い内容で、若竹の子の煮物などからは春を感じられ、満足度が高かった。(ただ、鉱水で炊いたお粥は独特の風味があり、少し苦手だったが……)

最後は地下の温泉でゆっくりし(なんと大浴場まで貸切状態!)、翌日のメインイベントである富岡製糸場に備えて眠りについた。

大浴場へ向かう道